梶田昭先生には、幸運にも鍼灸学校時代に習ったことがありました。先輩方の一人が「何故梶田先生がこの学校に」という声を聞いたことがあります。
穏やかな先生で、黒板に右から左まで書きながら講義が進みました。それは、見事なものでした。
最初の講義から授業が始まるとシンと静まり返りノートを取る音が流れます。実はそんなクラスではないはずでした。
他の先生だと意外とザワツイて弁当を一番前で食べ始めたり夜間でしたのでお酒を飲む人もいました。
なんて専門学校は自由なんだと思いました。30年以上前の風景ですが。
さて2001年に梶田先生の絶筆となられた「医学の歴史」。これはかなり面白い。縦横無尽に梶田先生の人柄を感じられる文体で描かれている。民俗学にも踏み込まれていて個人的にはとても興味深かった。
連綿とヨーロッパに連綿と続いていたヒポクラテス医学の流れが勉強になった。
先日読んだ司馬遼太郎の「胡蝶の夢」は幕末の蘭学を学んだ人たちの風景を描いたものだが、シーボルト、ポンペ医師にヒポクラテス医学のわざと精神が続いているんだろうと思われる。
索引がないので、少しずつ興味のあるところは調べてみたい。梶田先生、こんなにいつ本を読んだのだろう。やっぱりすごい。